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「有給休暇は正社員や契約社員だけが取得できるもの」という先入観をお持ちの方もいるようですが、それは全くの誤解。パートであれアルバイトであれ、登録ヘルパーであれ、勤務実績において一定の条件を満たした場合には、所定の有給休暇を取得できる法的権利が生じます。
ここでは、取得できる有給の日数や賃金の額など、登録ヘルパーと有給休暇に関して網羅的に解説します。
冒頭で触れた通り、登録ヘルパーであっても有給休暇を取得することはできます。ただし、登録ヘルパーという働き方は特殊な面があるため、その特殊性に応じた有給休暇制度が適用されることになります。
一般的なパートやアルバイトの場合、その週や年間に予定されている所定労働日数を基準に有給休暇の日数が決まりますが、登録ヘルパーの場合、希望した曜日や時間に仕事が入るかどうかは未知数。そのため、パートやアルバイトの有給休暇算定の基準となる「その週や年間に予定されている所定労働日数」は、事前には分かりません。
そこで厚生労働省は、登録ヘルパーのような所定労働日数が未知数の労働者について、「基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出」しても良いと定めました。
厚生労働省の解釈に基づけば、登録ヘルパーは「過去6ヶ月の労働日数×2」を所定労働日数と仮定し、この仮定に基づいて有給休暇の日数を算出することになります(※1)。
上記のプロセスで所定勤務日数を算出した後は、他の雇用形態の人たちと同様の計算方法で有給休暇の日数が決まります。以下、厚生労働省が公表している有給休暇の日数表をご確認ください。
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雇入日から起算した金属勤務期間ごとの年次有給休暇日数 | |||||||||
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週所定労働時間 | 週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 6ヶ月 | 1年 6ヶ月 | 2年 6ヶ月 | 3年 6ヶ月 | 4年 6ヶ月 | 5年 6ヶ月 | 6年 6ヶ月 以上 |
30時間以上 | - | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 | |
30時間未満 | 5日以上 | 217日以上 | |||||||
4日 | 169日から216日まで | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121日から168日まで | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73日から120日まで | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48日から72日まで | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
・「6ヶ月前に入職して40日働いた登録ヘルパー」の場合
所定労働日数=40日×2=80日
上の表に当てはめると、3日分の有給休暇を取得できる計算となります。
勤務予定外の日に有給休暇を取得することは、原則としてできません。なぜならば、勤務予定外の日に有給休暇を取得するということは、実質的に「有給休暇の買取」になってしまうからです。
大半の介護事業所では「有給休暇の買取は行わない」というルールが敷かれているため、勤務予定外の日に有給休暇を取得することはできない、と考えておいたほうが良いでしょう。
ただし、体調不良などによる急な欠勤日が生じた場合、事後的に、その欠勤日に有給休暇を当てるということは、多くの事業所で認めています。もし消化できそうにない有給が残っている場合で、かつ年度内に欠勤日がある場合には、その欠勤日に有給休暇を当てられないかどうかを、事業所の責任者に相談してみてはいかがでしょうか。
登録ヘルパーを含め、介護事業所の職員の有給休暇日給の金額については、それぞれの介護事業所の就業規則により異なります。具体的には、介護事業所は次の3種類のいずれかを有給の日給として選択し、就業規則として定めています。
参考までに、多くの介護事業所では、登録ヘルパーの有給休暇日給として「仕事をした時と同じ通常の賃金の額」を採用しています。
登録ヘルパーの中には、「登録という働き方では有給休暇は与えられない」と思い込んでいる人が少なくありません。また、登録ヘルパーを採用している介護事業所側においても、「登録ヘルパーさんには有給休暇はない」と誤解しているところもあるようです。
しかしながら、たとえ登録ヘルパーという働き方であっても、勤務実績に応じて有給休暇を取得できるのは法律上の権利。有給休暇に関して疑問や不明点のある登録ヘルパーの方は、一度、勤務している事業所の責任者に確認してみるようにしましょう。