--> */
ここでは、まずは社会保険と労働保険の内容をおさらいしたうえで、登録ヘルパーにおける社会保険と労働保険の取り扱いを説明します。条件に応じては、登録ヘルパーも社会保険や労働保険に加入することができるので、登録契約の際には、必ず事業所に確認してみましょう
まずは、世間一般的な意味における社会保険・労働保険の内容をおさらいしておきましょう。
「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3種類を総称して、(狭義の)社会保険と言います。それぞれの保険の保険料については、従業員が全額負担するのではなく、一部事業者側も負担する形となります。
平成28年10月から、短時間労働者への社会保険適用拡大が始まりました。2021年12月現在、次のような条件に該当する従業員は、社会保険に加入する義務が生じます。
以上に該当する場合には、正社員・契約社員・アルバイト・パート・登録・派遣などの雇用形態を問わず、必ず社会保険に加入しなければなりません。ただし、例外的に学生は社会保険の適用除外となります。
「労災保険」と「雇用保険」の2種類を総称して、労働保険と言います。また、上記3種類の社会保険と合わせた5種類を総称して、(広義の)社会保険と言うこともあります。それぞれの保険の保険料については、「労災保険」は全額会社負担となり、「雇用保険」は一部のみ会社負担となります。
労災保険については、全ての従業員に加入義務があります。常勤正社員はもちろんのこと、契約社員、アルバイト、パート、派遣、登録など、雇用形態の違いに関わらず、必ず全従業員が加入します。
一方で雇用保険については、週20時間以上勤務する等の条件を満たした従業員に加入義務があります。雇用保険の場合も、常勤やパート、登録などの雇用形態の違いは加入義務とは関係ありません。
次に、登録ヘルパーにおける社会保険・労働保険の取り扱いを見てみましょう。
登録ヘルパーであっても、上で説明した条件を満たした場合には、社会保険への加入義務が生じます。
この条件を満たした「学生以外」の登録ヘルパーには、原則として社会保険への加入義務があることを理解しておきましょう。
例外として、非常勤役員扱いとなる登録ヘルパーの場合には、仮に上記の条件を満たしていたとしても、社会保険への加入義務が生じないケースがあるのでご注意ください。具体的には、たとえば「事業所の経営に影響力を持っているかどうか」「役員会などに出席しているかどうか」などについて、年金事務所が個別の状況を確認したうえで、社会保険の加入義務があるかどうかを検討する流れとなります。
もし年金事務所から「加入漏れ」が指摘された場合には、「加入漏れ」が発生した時期以降の保険料をまとめて納付しなければなりません。そうなると、従業員にも事業所にも大きな負担となるでしょう。
そのようなことのないよう、非常勤役員扱いとなる登録ヘルパーは、事前に事業所に対し、自分には社会保険料への加入義務があるかどうかを確認しておくようにしましょう。
労災保険については、登録ヘルパーであっても必ず加入することになります。また雇用保険については、週20時間以上勤務する等の条件を満たした場合には、登録ヘルパーであっても加入義務があります。常勤、非常勤、登録などの雇用形態の違いは、労働保険の適用条件に無関係となります。
なお例外的に、65歳に達した日以降に雇用された場合については、労働保険に加入することができません。定年退職後に登録ヘルパーとして働く予定の方は、この点に注意が必要です。
雇用形態が何であれ、基本的に社会保険に加入できることは「良いこと」との一般認識があります。ただし、いくつかの注意点もあるので、併せて理解しておくようにしましょう。
社会保険に加入するということは、自分の給料からも保険料の一部が差し引かれるということにもなります。これは、社会保険に加入しなければ差し引かれなかった部分です。すなわち、社会保険に加入したことで、保険料の自己負担分だけ給料の手取り額が減る形となります。
社会保険への加入条件を満たすほど働いた場合、ともすると配偶者当の扶養の範囲を超えるほどの給与額になる可能性もあるでしょう。もし税務署の調査によって扶養範囲を超えていることが分かった場合、税金の再計算が行われ、不足分を追加して納税する形となります。
登録ヘルパー自身には無関係なことですが、社会保険の保険料の一部は事業者側の負担で納付する形となるため、社会保険に加入するスタッフが増えた場合、増えた人数に比例して事業者側の負担も増えることになります。
一般的な社会保険と労働保険の内容、および、登録ヘルパーにおける社会保険と労働保険の取り扱いについて解説しました。改めて、登録ヘルパーの社会保険・労働保険の加入条件を整理してみましょう。
厚生労働省が指定した条件を満たした場合には加入義務があります。ただし、非常勤役員扱いの登録ヘルパーについては、個々の状況で判断されます。
労働保険のうち、労災保険については原則として加入することになります。また雇用保険については、週20時間以上勤務した場合等に限り、加入義務があります。
以上が登録ヘルパーの社会保険・労働保険の原則論となりますが、実際の雇用現場では、これらの運用がやや曖昧になっている事例もあるようです。登録契約を結ぶ際には、自身が社会保険・労働保険の対象となるかどうかを、必ず確認するようにしましょう。